家族の加入について
健康保険では、被保険者だけでなく、被保険者に扶養されている家族にも保険給付を行います。この家族のことを「被扶養者」といいます。被扶養者として認定されるためには、「国内居住」のうえ、「家族の範囲」と「収入」について一定の条件を満たしている必要があります。
- 家族の範囲
- 収入の基準
- 「年収の壁」に対する政府の施策について(2023年10月より)
- 被扶養者の認定基準
- 短時間労働者の適用拡大について
- 失業給付の受給資格者認定について
- 被扶養者認定における国内居住要件の追加について
- 被扶養者の異動(変更)があったら
- POINT
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- 被扶養者となるためには、健康保険組合の認定を受けなければなりません。
- 被扶養者の異動があった場合は、5日以内に届出をしてください。
家族の範囲
被扶養者となれる家族の範囲は、法律で決められています。さらに、同居・別居により、条件が異なります。
被保険者と同居でも別居でもよい人
- 配偶者(内縁でもよい)
- 子、孫
- 兄弟姉妹
- 父母など直系尊属
被保険者と同居が条件の人
- 上記以外の三親等内の親族
- 被保険者の内縁の配偶者の父母および子
- 内縁の配偶者死亡後の父母および子

収入の基準
被扶養者となるためには、「主として被保険者の収入によって生活していること」が必要です。
同居している場合 | 別居している場合 | 対象者の年収が130万円(60歳以上または障害厚生年金の受給要件に該当する程度の障害者は180万円)未満で、被保険者の収入の2分の1未満であること | 対象者の年収が130万円(60歳以上または障害厚生年金の受給要件に該当する程度の障害者は180万円)未満で、かつ、その額が被保険者からの仕送額より少ないこと |
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収入の範囲
収入とは、原則として今後1年間に見込まれる年間収入であり、下記に該当するすべての収入を合算したものになります。
- (1) 勤労収入(通勤交通費等の非課税収入および賞与を含む)
- (2) 各種年金・恩給収入
- (3) 事業収入(自営業・農業・漁業・商業・工業、保険の外交等自由業に基づく収入)
- (4) 不動産収入(土地・家屋・駐車場等の賃貸収入)
- (5) 利子収入(預貯金・有価証券利子等)
- (6) 投資・配当収入(株式配当金等)
- (7) 雑収入(原稿料・印税・講演料等)
- (8) 雇用保険給付金(失業給付・傷病手当等の休業補償)
- (9) 健康保険給付金(傷病手当・出産手当等の休業補償)
- (10) 被保険者以外からの仕送り(生計費・養育費等)
- (11) その他継続性のある収入
「年収の壁」に対する政府の施策について(2023年10月より)
- 参考リンク
「年収の壁」とは
「年収の壁」とは、税金や社会保険料が発生する基準となる年収額のことです。
健康保険等の被扶養者がパートタイマー等で働き、年収が一定以上になると、被扶養者ではいられなくなり、健康保険や国民健康保険等の被保険者となりますが、そうなると社会保険料の負担が発生して、結果として手取り収入が減少する場合があります。
社会保険における「年収の壁」は、企業規模の違い等により、年収106万円と年収130万円の2つがあります。
(出典:「年収の壁」への当面の対応策(厚生労働省))
年収106万円の壁 | 従業員51人以上の企業、賃金月額88,000円以上(年収:約106万円以上)等、一定の条件を満たす場合は、社会保険料が発生。 |
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年収130万円(※)の壁 | 被扶養者の認定基準を満たさなくなるため、条件を問わず、社会保険料が発生。 |
- ※60歳以上または障害厚生年金の受給要件に該当する程度の障害者は180万円
年収130万円の壁に対する対応
被扶養者認定は前年の課税証明書等の確認で行われていますが、人手不足による労働時間延長等に伴い一時的に年収が130万円以上となる場合は、事業主の証明を添付することにより、収入見込額が130万円以上であっても、引き続き被扶養者の認定を受けることができるようになります。
(同一の者について原則として連続2回までを上限とします)
年収106万円の壁に対する対応
社会保険適用促進手当(※)の支給等、労働者の収入を増加させる支援を行った企業に対して一定期間助成が行われます。
※社会保険適用促進手当
短時間労働者への被用者保険の適用を促進するため、非適用の労働者が新たに適用となった場合、当該労働者の保険料負担を軽減するために支給することができる手当です。
社会保険適用促進手当は、給与・賞与とは別に支給するものとし、保険料算定の基礎となる標準報酬月額・標準賞与額の算定対象に考慮しないこととされます。
- ※対象者:標準報酬月額が10.4万円以下の方。
- ※報酬から除外する手当の上限額:被用者保険適用に伴い新たに発生した本人負担分の保険料相当額。
- ※最大2年間の措置。
被扶養者の認定基準
- 「主として被保険者の収入によって生活していること」とは、常態として、継続してその生計費の半分以上を被保険者が負担していなければ、 被扶養者となるべき生計維持関係はないものとみなします。
- 同居とは同一世帯に属すること(住居および家計を共にすること)であり、常態として、継続的に同一家屋内において生活していることを指します。
- ※夫婦共同扶養の場合(夫婦共働きで子を扶養する場合)は、原則として収入の多い方の被扶養者とします。
- ※父母などのうち、いずれか一方のみ申請する場合等、扶養認定対象者に配偶者がいる場合は、その配偶者の収入を確認した上で、主として生計を維持しているかどうかで判断します。
二世帯住宅について
下記のように、同住所でも玄関や水回り等が完全に異なる二世帯住宅は基本的に同一世帯とは認められません。
- ■被保険者とは別のフロアに住んでいる場合
- ■同一敷地内に建てられた、被保険者とは別の住宅に住んでいる場合
- ■集合住宅(マンション)の別々の住居に住んでいる場合
別居時の仕送りについて
別居しているご家族を扶養する場合には、仕送りの証明を要しますが、下記に該当する場合は、仕送りの証明を免除します。
- ■対象被扶養者が16歳未満もしくは16歳以上の学生
- ■単身赴任による別居
- ■里帰り出産・介護による別居
- ■入院による別居
- ■特別扱い施設入所による別居(以下に該当する施設)
- 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
- 介護老人保健施設
- 介護療養型医療施設
- 身体(知的)障害者更生施設
【参考:「被扶養者認定基準」より抜粋】
組合は、認定対象者又は被扶養者の収入を可能な限り正確に把握し、公正な認定処理を行うため、必要に応じて被保険者に対し認定対象者又は被扶養者の収入状況を証明する書類等の提出を求めることができる。また、組合から書類等の提出 の指示を受けた被保険者は、認定対象者又は被扶養者と協力して、速やかに必要とする書類等を提出しなければならない。
短時間労働者の適用拡大について
被扶養者認定基準を満たしていても、勤務先健康保険の加入対象である場合は扶養認定されません。 短時間労働者の健康保険加入要件は、「短時間労働者(パートタイマーなど)の健康保険適用について」をご確認ください。
失業給付の受給資格者認定について
失業給付受給予定者は、退職後~失業給付受給開始(待機・給付制限期間終了)までは扶養認定を行いますが、失業給付の支給開始後5日以内に扶養削除の手続きをすることが条件となります。
(※自己都合退職した場合、ハローワークに離職票提出後、支給開始まで通常3カ月程度かかります。)
ただし、失業給付の基本手当日額が3,612円(60歳以上または障がい者の場合は、5,000円)未満の場合は、収入の許容基準内のため継続認定します。扶養削除の手続きは必要ありません。
被扶養者認定における国内居住要件の追加について
2020年4月より、健康保険の被扶養者認定の要件に、国内居住要件が追加されました。日本国内に住所を有していない場合、2020年4月1日以降は、原則として被扶養者の認定はされません。(海外留学等、一定の例外あり)
国内居住要件の考え方について
住民基本台帳に住民登録されているかどうか(住民票があるかどうか)で判断し、住民票が日本国内にある方は原則、国内居住要件を満たすものとされます。
- ※住民票が日本国内にあっても、海外で就労している等、明らかに日本での居住実態がないことが判明した場合は、国内居住要件を満たさないと判断されます。
国内居住要件の例外
外国に一時的に留学している学生等、海外居住であっても日本国内に生活の基礎があると認められる場合は、例外として国内居住要件を満たすこととされます。
【国内居住要件の例外となる場合】
- ① 外国において留学をする学生
- ② 外国に赴任する被保険者に同行する者
- ③ 観光、保養又はボランティア活動その他就労以外の目的で一時的に海外に渡航する者
- ④ 被保険者が外国に赴任している間に当該被保険者との身分関係が生じた者
- ⑤ ①から④までに掲げるもののほか、渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められる者
国内居住者であっても、被扶養者と認められない場合
医療滞在ビザで来日した方、観光・保養を目的としたロングステイビザで来日した方については、国内居住であっても被扶養者として認定されません。
経過措置について
国内居住要件の追加により被扶養者資格を喪失する方が、施行日(2020年4月1日)時点で国内の医療機関に入院している場合、経過措置として、入院期間中は資格が継続されます。
被扶養者の異動(変更)があったら
結婚や出産などにより被扶養者が増えたときや、就職や別居、死亡などで、それまで被扶養者に認定されていた家族が被扶養者の認定基準を満たさなくなった場合は手続きが必要です。なお、当組合では毎年、被扶養者の資格を確認するための検認を行っています。